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詩織は素早く札を手にすると何事か呟き、その札を妖魔へと投げる。
札は赤い炎の塊となり妖魔へと襲いかかる。それを妖魔は難なく手で弾く。
詩織はこの程度の攻撃など避けられることは分かっていたが、ここまで簡単に自分の攻撃をかわされたことに少なからず驚く。
「さすがね」
肩を竦めながら詩織は妖魔に感嘆の言葉を投げる。
妖魔はそんなことに興味がないように鼻を鳴らす。
そして次の瞬間には岩の上からその姿を消す。
詩織はハッとなりすぐに視線を辺りに巡らす。が、気付いた時には既に遅く詩織の目の前に妖魔がその姿を現し、鋭く長い爪を詩織めがけて振り下ろす。
「詩織さんっ!」
妖魔の爪が詩織の顔に当たる寸前、何者かの声とともに何かが飛んできて妖魔の爪を弾き飛ばす。
「!」
詩織は声のした方へと素早く視線を動かす。
そこには明らかに焦った様子の修一の姿があった。
瞬間、詩織の顔が険しく顰められる。
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