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「あんた、また邪魔しに来た訳?」
走って自分の元に来た修一に詩織は怒気の籠った視線を投げつけて冷たく言い放つ。
そんな詩織の言葉など気にしてないのか修一は詩織の顔を両手で持つと右へ左へと動かす。
「ちょっと! 何してんのよ!」
ぐりんぐりんと自分の意志とは関係なく動かされながら詩織は叫ぶ。
修一は一通り確認し終えたのかホッと安心したように息を吐く。
「よかった……、怪我してない」
「は?」
修一の言葉に詩織は眉を顰める。
そんな詩織に修一はにっこりと笑顔を向ける。
詩織はムッとし、いまだ両頬を持っている修一の手を乱暴に振り払う。
「あんた、一体何なの!」
「え……? 何って……?」
「またあたしの邪魔をしにきたの? それともあんたもアレを狙ってる訳?」
そう言いながら詩織は自分達の様子を遠目から窺っている妖魔に一瞬視線を向け、すぐに修一に視線を戻す。
修一も同じように一瞬妖魔に視線を向けるがすぐに詩織に戻す。
そして何のことか分からないように小首を傾げる。
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