プロローグ

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「だから、どうやって塔宮家の時期宗主になるはずだったお母さんと、御堂家宗主だったお父さんがどうやって知りあって結ばれたのか気に……」 「馬鹿、捺樹っ! それは聞くなって……!」 「黙らっしゃい、達樹!!」  捺樹の言葉を遮るように達樹は叫ぶが後の祭りだった。  チラリと視線を動かすと、満面の笑みを浮かべた母の姿が見えた。 (終わった……)  達樹は諦めたように項垂れる。 「聞きたい? 私と修一さんの馴れ初め、聞きたい?」  話したくて仕方がないような表情で詩織は捺樹に問いかける。  それに捺樹はもちろん、と頷く。 (……この話させると長いんだよな、母さん。つぅか、俺、これ聞くの何回目だよ……)  達樹は泣きたくなった。それはセイも同じようで横目で見ると自分と同じように項垂れているセイの姿が目に入る。  詩織はすくっと立ち上がると顔に満面の笑みを湛えたまま、自分と夫である修一との馴れ初めを語りだす。  もうこうなっては詩織の独壇場である。 「あれはね、今から十八年前のことになるわね……」
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