「御堂家」と「塔宮家」

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 その昔、封じ屋の世界では御堂家と塔宮家の二つがその勢力を二分していた。  俗に「西の塔宮」「東の御堂」と呼ばれていた。  この二家、何故だか昔から馬が合わないのか犬猿の仲で、何かと対立を繰り返していた。  しかし時代が流れていくと共に塔宮家の力は徐々に衰退の一途を辿っていき、多少の力はあるものの封じ屋の看板を背負えるほどの力を持って生まれてくる者がいなくなっていった。  逆に御堂家の力はどんどん隆盛していき、二つの力関係が徐々に崩れていっていた  そんな二家の均衡の崩れた中、塔宮家に一人の女の子が生まれた。  それが詩織である。    詩織は近年まれに見ないほどの力を宿して生まれてきた。  塔宮家はそれはそれは湧き上がった。  これでまた一族を再興できると幼い詩織に過度な期待と厳しい修業を課した。  そのおかげか、八歳の頃にはすでに一人前の封じる者になっていた。  詩織が生まれる六年前には御堂家にも一族歴代最強の力を持った子と言われ、現在でも語り継がれている男の子が生まれた。  それが修一である。  修一もまた幼い頃から厳しい修練を経て御堂家一の封じる者へと成長した。
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