初対面の印象は最悪だった

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「――あんた、あたしにケンカ売ってんの?」  詩織は不機嫌さを隠すこともなく腕を組んで目の前の男を睨みつける。 「い、いえ、そんなつもりではないのですが……」  詩織の目の前で男は困ったような笑みを浮かべている。 「じゃあ、何? これはどういうつもりな訳?」  詩織は自分の目の前に転がっている一匹の妖魔を顎で指し示す。  その妖魔は槍のような物で胸を貫かれて息絶えていた。  その槍のような物の持ち主が今詩織の目の前に立っている男なのだ。  男は右手で頭を掻きながら困ったように笑うだけである。 「いや、あの……、それは……」  一向に埒が明かない男との会話に苛立ちを募らせる。  組んでいる左手で右の二の腕をトントンと叩き、苛立ちを表現する。 「いや……あの、それは詩織さんが危ないと思ったので……つい……」  詩織の無言のプレッシャーにドギマギしながらボソボソと男が答える。  その答えを聞いてますます詩織の眉間のしわが深くなる。 「何? あたしが危ないって思ったって? ふざけんじゃないわよ、あんたみたいな得体のしれない奴に助けられるほどあたしは落ちぶれてないわよっ!」 「いえっ、そういうつもりではないのですっ」 「じゃあどういうつもりな訳!? そもそもあんた、何であたしの名前知ってる訳!?」  ビシッと指差しながら詩織は怒りを爆発させる。  そのあまりにの怒りの声に男は体をビクつかせる。
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