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昔、誰かが言ってた。
雨は空が泣いているから、降るんだって。
「ナチルおっはよー!」
「あ、おはよ」
今日は、生憎の雨。
窓の外をボーッと、眺めていたあたしは、大親友のなずなが声をかけてくれたおかげで、自分の世界から戻ってきた。
「もう雨とか最悪だよね…、湿気で髪がうねるしー」
「そんなに酷くないよ。…あたしは、雨の日は嫌いじゃないな」
あたしの前座席に座って、自分の髪をいじりながら文句を言うなずなに苦笑してから、もう一度、窓の外に視線を向ける。
雨は嫌いじゃない。
雨上がりの空が好きってのもあるけど、全てを洗い流してくれるような気がするから。
「ナチルって、雨の日は凄く優しい顔するよね」
「え?」
「何だか雨に恋してるみたい」
そう言ってふんわりと笑うなずなに驚きながらも、自分てそんな顔してるんだと、妙に納得してしまった。
あたしが、
雨に恋してる――、か。
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