2人が本棚に入れています
本棚に追加
長い長い一日は、何だかあっという間に終わった。まあ、今日はこれから部活だし、直ぐには帰れないけどね。
「ナチルー、彼氏さんが迎えにきたよー」
「!――、あ、うん」
なずなが教室を出る前に振り返ってあたしに告げた知らせに、心臓が大きく跳ねたのは、嬉しくてトキメイたといったものじゃない。
寧ろ、逆――。
「部活前にちょっといいか?」
「…、うん」
なずなが教室から出て、クラスの皆もそれぞれ部活に行ったり、帰宅したりで教室には、静寂が訪れた。
二人きりになってしまったそこに流れるのは、恋人達の間に流れるような甘い空気なんかじゃない。
表ではまだ恋人同士ということにはなっているけど、実際はもう破局済みだ。
彼、中島はじめは、同じバスケ部の部員。といってもあたしはただのマネージャーなんだけど。
「俺さ、好きな奴できたから、もういい?」
「…あたしが引き留めたら何か変わるの?」
「…別れんの納得してたじゃん」
確かに納得はした。
今だって別に引き留める気なんてこれっぽっちもない。
ただ、悔しいだけ。
それ、だけ――。
→
最初のコメントを投稿しよう!