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「ここ、あたしの家…」
「当然だ。早くシャワーを浴びてこい」
「どうしてあたしの家、知ってるの?」
「…とにかく体を温めてこい。質問にはその後、いくらでも答えてやる」
やっぱりというか、何と言うか、男の子が帰るぞ、と言った家はあたしの家(マンション)のことで、
鍵を持ってないはずなのに、最初から鍵がかかっていなかったとでも言うかのように簡単に中に入ってしまった彼に、ただただ驚くばかり。
普通は疑うところだよね。
だけどその時のあたしは、男の子に言われるがまま、風呂場に向かい、冷えきった体を温めるためにシャワーを浴びた。
「…あたし、警戒心なさすぎ?」
いきなり現れた初対面の男の子を一人暮らしの家にあげるなんて、どう考えたって有り得ない。
そうは思う反面、さっきまで胸を渦巻いていた悔しさや、悲しさといった負の感情はいつの間にやらどこかに消えうせている。
何だか、もう、はじめの事なんて考えてる暇がないっていうか、あたしの人生が大きく変わるような、そんな気がした。
あたしの人生の転機は、
ハルカとの出逢いから生まれた。
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