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ただ、カリンはそれだけ言って泣き崩れた。周りの女達がカリンを退出させるのを見送り、ヒルは紅茶を啜る。
「博士殿は何か分かりますかな」
対に座るユーリに問えば、ユーリが口許を歪めて答えた。
「御隠居さんも話は聞いてるだろ。隊長君はいずれリムに行くことになってたんだ。後は僕らの手じゃ届かないところにある。連絡がくるまで待とう。僕としては攻めてくる神官の方が気掛かりだ」
話を安易に濁されて、ヒルは仕方なしに詮索を諦めた。確かに、リムにはまだ行きたくはない。
リムは、神様の居る地だ。つまりは、死人の行く場所である。誰も好んでその扉を開けようとは思わない。それが、一般常識だ。
ヒルは、茶菓子を適当に口に含み、神官軍についてユーリに知ることを話した。
それが終わる頃には、夜は既に更けていたといえる。
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