0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「短い間、お世話になりました。」
三ヶ月くらい働いていた居酒屋を辞めた。
理由は…。特に無い。
ただ何となく、”自分にはむいていない気がした”それだけだった。
「アリスちゃん本当に辞めちゃうんだ…」
「アリスちゃんが辞めたら客来なくなっちゃうよ~」
「元気でね、たまには遊びに来てね」
一緒に働いていた人達からの声を聞きながら店を後後にした。
「さて、どうするかな…」
「取り合えず…。上行ってみるか」
辞めた居酒屋が入っていたビルは、三階建て。
一階はファーストフード店、2階が居酒屋、そこの上は…。
よく分からないけど、何かの会社が入ってるみたい。
それでもって屋上。
”立ち入り禁止”の看板とクサリはしてあるものの、それを潜っちゃえば屋上のドアには鍵はかかっていない。
「こんなんで良いのかね~」
などと思いつつも、ここに来てボ~っと周りを眺めているのは結構好き。
「…」
「……」
「………」
「ピ、ピ、ピ、ピ~ン」
「十二時ジャストをお知らせしま~す」
「このまま帰ってもヒマだし、どこかフラフラしてから帰…」
時計代わりの携帯から目を離し、何気なくビルの下を見るとビルの裏手側、あまり人の通らない場所に数人の人影が。
よく見ると一人を三人が囲んでいた。
「…女の子一人に男が三人。ナンパか?」
「っと言うよりは、何だかもめてる見たいかな?」
「ヤダヤダ。面倒事はゴメンだよ」
多少は気になりつつも、取り合えず屋上から降りていった。
「さてどこ行くかな」
ビルを出て最初の角を右に曲がり、しばらくすると小さな十字路。そこを直進しようと歩いていると。
ドン。
「痛った~い」
いきなり出てきた人影とぶつかった。
「チョット、ちゃんと前見てよね」
「あっ!!」
「えっ?」
「見つけた。」
「はい?」
「やっと見つけた。あなた”アリス”でしょ?」
「確かに私はアリスだけど…。あなた誰?」
「私はあなたの…」
「見つけたぞ。コッチだ」
声がした方を向くと遠くから三人の男が走ってくる。
「!!」
「まったく。まだ来るか」
迫ってくる男たちを見て、気づいた事、それは…。
「…あんたまさか、さっき絡まれてた女の子じゃ…」
「あぁ、あんまりしつこいから軽くふっ飛ばしてやったけどね」
「ふっ飛ばしてって…」
「まだ来るか。飽きない奴等だ、またふっ飛ばされたいのか?」
最初のコメントを投稿しよう!