Bar Bloody

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「ハァ、ハァ、ハァ・・・」 男は鬱蒼と生い茂る森林を掻き分けながら、ひたすら前方と思われる方向に向かって突き進んでいた。 最早その道程には林道などという整然とした踏み場は全くと言っていいほど見当たらず、身の丈程もある草木の海を泳ぐようにして、男は“ある場所”を捜し求めていた。 「・・参ったな・・・・・本当に迷いの森だ」 もう、迷ったと認識してから、どれくらいの時が過ぎたのだろうか・・、地図や羅針盤は全く役に立たない。 辺りは夜の帳が下り、暗くなり始めている。 気温も明るい時間とは比べ物にならない程低くなり、吐く息が白みがかっている。 喉が渇き、空腹が男を襲う、脚は棒のように硬くなり、歩いているのがやっとであった。 幾ら歩き続けても景色は一向に変わる様子が無い。 やがて意識が朦朧としてくる・・、目が霞み、耳も遠くなり始め、 「・・もう・・限界だ・・・」 擦れた声で一言そう呟き、男がある程度腹を括ったその時であった。 今まで鬱蒼と生い茂っていた身の丈程もある草木は突然消え去り、人工的に施されたような円形状の広場に辿り着いた。
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