スゲーなお前。うん。ある意味だけどな

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パァン…… 渇いた音が微かに響く。 ルナはその場から動かず、 頬を押さえて俯いていた。 兄貴達の方を再び見れば、怒りをあらわにしてルナを睨んでいる。 小さなオレはただ顔を真っ青にして 見ているだけだった。 今にも何かが始まりそうなこの空気に、 やっと言葉が出てきた。 それもソプラノの、ルナの声。 「やりましたね…?」 ゆっくりと顔を上げるルナ。 その顔は怪しい笑みを浮かべていた。 「貴方が今までなさった事は全て この場所に仕掛けたカメラによって 採取されました。 そして今言った言動全ても、 このボイスレコーダーに録らせていただきました。」 こうなってしまえば完全に ルナが上の立場だ。 ルナが反撃を始めた。 「あなた方、ベルフォルマ家は 誰もが知る大貴族。 なぁんの罪の無い人間に 暴力を振るったなんて知られれば、 嘘でも、ベルフォルマ家の名に傷がつきますね。 さて、どうしましょう?」 完全にルナの勝ちだぁ! すげぇ!すげぇーぞあいつ! ある意味、スゲー! 「くっ…!貴様は私に何を求める!」 まだプライドを守る兄貴。 「きぃ、さぁ、まぁ?」 そしてそれを壊そうとするルナ。 「………。お前は何を求める…。」 「我が主人への謝罪。」 「…すまなかった…あんな弟と言って…」 「もうしません!は?」 「;;;;もうしません…」 「うん。またしたらめっ!するからね。」 「………………あぁ;」 完全にルナの空気に飲み込まれてる兄貴。 調子に乗ってるルナ。 まるでルドッドン(リカルド)とルナ。 にしても、ルナっていっぱい出てくんな。 「では、私はこれで失礼させて頂きますね」 後はルナが小さい頃のオレを見つけ めちゃくちゃ叱ってる。 でも オレの心の中では確かに、 ルナにたいしての心境は変わった。 大好きなお姉さんから 小さな憧れへと……。
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