64人が本棚に入れています
本棚に追加
「てめぇ!」
スパーダが…切り掛かる。
お兄ちゃんに…。
そんな事…しちゃったら…
…殺しの…鬼が……
そして‘ルナ’としての
感覚が無くなってゆく。
どうなってるの?
私の…頭は…体は…
何が…おこってるの…。
微かに聞こえる、刃と刃が交じり逢う音。
分からない。
ねぇ
ルイネシャルアって…
本当の私…なの?
なら…私って…ルナって何なの?
― ねぇ 貴女はどうして戻って来たの ―
そんなの…知らない
― 無駄な争いを生み出す為に、貴女は戻って来たの? ―
違う。
誰かが傷つくのを見るのは…嫌だ。
― 違う事無いでしょう?貴女は、きっと誰かを傷付けたかったのよ。だって…貴女は殺し屋ですもの。 ―
違う!殺し屋とか…
そんなの関係無い!
私は…皆を傷付けたくなんか…
― 何時までそう言えるんだろうね。いつかは突き当たる。自分の存在について。貴女は凄く厄介な‘モノ’なんだもの。―
物…なんかじゃ…
― 兄さんにも…父さんにも…母さんにも…みんなに…貴女は‘モノ’として、‘道具’として使われていたじゃない。―
違う!違う違う違う違う!
― いくらもがきあがいても!貴女は誰からも‘ヒト’として必要にされない。―
そんなの…まだ分からない!
― 目に見えてるじゃない。ふふっ、私は貴女で貴女が私なのよ?分かりきってる… ―
うるさい!煩い煩い煩い煩い煩い煩いウルサイ!
貴女と私は違う!絶対に!
― そんな事ないわ。貴女の心は私にも見えるもの…。貴女…あの子が…スパーダ君が好きなんでしょう? ―
あの…子…?
……スパ…ーダ?
― 良いわね。本当に幸せそうで…でも、それも今のうちよ。捨てられるわよ。きっとね。―
な…なんでそんなの!
― 貴女は、‘バケモノ’何ですものね。―
ば…け……。
― さようなら。私の光。陰(かげ)になったその時、また会いましょう。―
遠ざかって行く…私と同じ声
私にとって、残酷な記憶を残して。
最初のコメントを投稿しよう!