私に怨みでもあったのか、ハスタ

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「…ぁ………っ」 貫いたって……コイツ、正気? 小さな悲鳴と共に、心臓が大きく跳びはねた。 痛い。痛い。 違う。 熱い。 血が、抜けてゆく。 生暖かくて気持ち悪い。 ハスタが私の体から槍を抜いた。 真っ赤に染まってる。 「バイバーイ」 揺らぐ視界の中にハスタの不気味な笑みが見えた。 私の体は地に倒れた。 私…死んじゃうわけ? こんなとこで…ふざけんなよ…。 つまらない世界から抜け出せた。 変わらないあの日々から、開放された。 私は足を引きずってばっかで、 実際は全然役に立ってなかったかも知れない。 だから、罰が当たったの? 嗚呼、もう頭が真っ白になってきた。 ハスタ。お前、元から私を兄さんの所に帰す気ねぇんじゃねぇか…。 まぁ、帰されても困るんだけど…。 ほんっと、意味分かんないよ。あんた。 眠い………疲れた。 「しまった!!」 「あのやろっ!」 消えてく意識の中、そう聞こえたのは、私の気のせいだろうか。
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