私に怨みでもあったのか、ハスタ

8/11
前へ
/203ページ
次へ
―――――――――… ハスタの槍はルナの体を貫いていた。 普通は大量出血で死んでしまうだろう。 幸い生き延びても、 生きているのか死んでるのかわからない植物状態だ。 ルナなら、コイツなら…って どこかで思ってるオレがいる。 有り得ないだろう。 死んでいるだろう。 生きている事は、決してないだろう。 なんで…ルナが? なんでコイツ何だよ。 イラつく時もある。 でも、嬉しくなる方がもっとある。 すっげー自分勝手なとこもあるけど、 いっつも元気で、なんかあっても 無理にでも笑おうとして、 みんなを元気付けようとして…。 確かに、いい奴だった。 なんで…コイツなんだよ。 なんでオレはさっさとハスタの野郎を殺らなかったんだよ…。 オレの…せいだ。 オレがさっさと止めを刺しとけば、 あいつ(ハスタ)の企みに気付いていれば………。 「あ、アンジュねぇちゃん…。 ルナねぇちゃん…息…してない…。 なぁ、助かるやんな!?ルナねぇちゃん死なへんやんなあ!!」 「エル、落ち着いて。ルナちゃんは助ける。絶対に。」 「アンジュ。担架を組む?」 「いや、いい。俺が背負おう。 無駄な時間は掛けていられない。 アンジュ。彼女の体に包帯を巻いてくれないか?」 「わかったわ。エル、イリアちゃん。手伝って。」 オレの目の前で作業はどんどん進んでいった。 血だらけになったルナの体の回りには女性群が包帯を巻きに集まった。 「スパーダ。」 呆然としたオレに、ルカが声を掛けた。 オレはただ「オレのせいで…」と何度も唱えていた。
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加