前世シーンなげぇな オイ

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翌日 …怪我増えた。 手、腫れたよ。 「ルナ…手、大丈夫…?」 優しく聞いてくれるルカ君。 悪いけどいまその気になれないわ 「……ねる」 私はそう一言残すと もぞもぞと布団の中に潜っていった。 その中ですこーし独り言を呟くと、 瞳を閉じた。寝るぞーい…。 ******** 「サミュエルっ…こっちに…来ては…ダメっ…!」 刺された 見てしまった。 お姉様が…刺された。 意志のある剣、デュランダルが抜かれたサファリアの体は力無く倒れた。 「おねえ…さま」 唖然と、サミュエルは立ち尽くした。 「サミュエル…。」 声を掛けられて、ハッと我に帰った私は サファリアお姉様に駆け寄った。 傷口からは痛々しく血が流れ、 顔を背けてしまいたくなる。 痛いだろう、辛いだろう。 きっと冷静ならそう考えていた。 「…サミュエル…にげ…て… 私を…おい、て、行って……」 力を振り絞り、姉、サファリアはサミュエルの方に顔を向けた。 サミュエルはしゃがみ込み、静かに涙を零し言った。 「いや…いや! こんなに傷だらけのお姉様を… 置いていく…なんて…。」 サミュエルは顔に手を当て、言った。 サファリアは息を切らしながら、続けて言った。 「ダメ…私はダメ…なの…。 だか、らっ…貴女…だけで、も」 「嫌、いやよ!絶対に行かないわ! お姉様を置いていくだなんて…!」 何度もサファリアは言った。 サミュエルは嫌と言い続けた。 「独りにしないでお姉様! お姉様…だけなのっ!お願い!」 無我夢中にサミュエルは言い続けた。 「お願いよ…私は…貴女を、まもりたい…の、貴女だけは、…失い、たく…ない…っ!」 サファリアはサミュエルの服の端を握り、 力強く言い放った。 「いや…いやぁ!」 サファリアは頭に手を当て、泣き叫ぶように言った。 ただ無心に「いや」と、言い続けた。 そんなサミュエルにサファリアは小さく言った。 「――必ず、私も後から行くから…―――」 小さく聞こえたその言葉に、サミュエルはサファリアを見た。 真面目な顔で、瞳は少し弱々しさを持ってるが、強い意志を持っていた。 そんなサファリアを見て、サミュエルは頷き、立ち上がるとサファリアから離れて行った。 ―――必ずだからね、サファリアお姉様…―――――。 **************
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