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例えば この世界で1番大切なものは何かと問えば
人々は口を揃えてこう言うだろう。
電脳、パソコンだと。
今から15年程前、
急速に発達した電脳技術のために 脳にマイクロチップを埋め込んだ人々
─通称インプラントが爆発的に増加した。
脳内に形成された回線による通信での スムーズな意思疎通、
素早く正確な情報処理。
今以上の人類の発展のために、更なる高みへと。
しかし同時に大きな社会格差が表れるようになった。
脳内にチップを埋め込んでいない人々
─ナチュラルを劣等とし、
蔑視する考えが広まった。
時がたつにつれて自然と
インプラントは電脳で統制された街中へ、
ナチュラルはビルの一画を曲がったような
日の当たらない場所へと集まるようになった。
13年前、
とうとう政府から
ナチュラルを差別対象とする法令が出された。
それと示し合わせたように
各企業でのナチュラルを対象とするインプラント手術の費用が跳ね上がった。
政府が何を狙っているかなど自明的だった。
インプラント化においてかかる莫大な費用。
物陰で生きてきたナチュラルに手の届くようなものではない。
そのため法令施行後もナチュラルのインプラント化の数字は一向に伸びる気配を見せなかった。
そして現在、
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