第三十七話 【甘露寺の会談】

7/11
前へ
/70ページ
次へ
呉国太「よかった…?」 劉備「あの孫堅殿の娘だから、どんなに厳つい女性が出てくるか心配してたんですけどね。」 劉備「でも、お義母様を見たら安心したよ、これなら娘さんも美人に違いない。」 劉備はカラカラと笑った。 呉国太「あの娘は…。」 呉国太はそういうと、少し伏し目がちになった。 娘の話を始めた途端、威圧が幾分和らいだように見えた。 呉国太「乱世に生まれ、幼き頃から父を亡くしたあの娘は、人にうまく依存するということを知らぬ。」 呉国太「故に強く、ただ強くなろうとしておる。その娘が劉孫の同盟のために身をお主に捧げようとしておるのだ。」 そこまで言うと、呉国太は静かに涙を流した。 頬を伝う、美しい涙が一筋。 劉備は何も言わず、それを眺めていた。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

426人が本棚に入れています
本棚に追加