第三十七話 【甘露寺の会談】

11/11
前へ
/70ページ
次へ
呉国太「…確かに、数多の死線をくぐり抜けてきたと聞く。しかし、その経験でもって危険を察知したと…?」 劉備「よくご存知。いわゆる死の香りってやつに人一倍敏感なのさ。」 劉備は姿勢を整えると、静かに手を合わせ、改めて呉国太に礼をとった。 その真っ直ぐな目線の先には呉国太が、孫仁が、そして呉の国がある。 劉備「義母ちゃん。俺は絶対に死なない。」 劉備の声が反響する。 劉備「だから娘さんを俺にくれ。」 全てを包み込むような劉備の姿で、室内はいっぱいになった。 呉国太「……劉備、娘を頼む。」 呉国太は深々と頭を下げた。 その姿を、趙雲と呂範は静かに眺めていた。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

426人が本棚に入れています
本棚に追加