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劉備と孫仁の婚儀は、呉国太と呂範の計らいもあって滞りなく進行された。
式が終わり、披露宴も半ばに差し掛かると、酒の力もあってか劉備の家臣と呉の将達の間の壁も次第に無くなり、互いに手を取り合って両軍の発展を誓い合った。
「……お主は、この婚儀に心から賛成なのか?」
高貴な呉国太が自ら、話しかけたのは今もなお、酒も飲まずに劉備を警護する趙雲だった。
少し戸惑った趙雲だったが、すぐさま落ち着いて、
「もちろんです。孫劉、両軍のためにも、それから…。」
趙雲は劉備の方に目をやった。
劉備は出席者達から次々と注がれる酒で完全に出来上がっており、すでに上半身の衣服を取っ払って真っ赤な顔で笑っている。
どんな相手とも簡単に腹を割れる。
それが劉備らしい劉備であった。
「殿が幸せであれば、それ以上はありませんゆえ。」
趙雲は美しく微笑んだ。
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