第三十五話 【新たな戦いの始まり】

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張昭「確かに大きな成果だが、遅すぎる…。」 南郡、制圧。 しかし、その遅すぎる報せに張昭は歯噛みした。 いや、張昭のみならず、呉陣営のムードは暗い。 全ては周瑜の死。 それはあまりに大きな損失。 張絋「さらに憂れうべくは劉備の南荊州取り…。」 結果、南郡の曹仁を撤退させるのに一年以上かかり、その間に劉備は南荊州を手に入れたのである。 そんな中。 「あの曹操を倒し、中原への足掛かりを得たばっかりと言うのに座が暗いわねぇ…。」 末席から現れたのは、背の高い、武装した女だった。 張昭「妹君…。」 「じぃや、私の事は孫仁って呼んでちょうだいって言ったでしょ。」 国の重臣、張昭をじぃやと呼ぶその女は、颯爽と孫権の前に立ち礼を取った。 孫権「孫仁はお前の兄の名だろう。」 孫仁「兄さんには孫郎っていうちゃんとした名前があるじゃない。」 その女は孫権の弟である孫郎のさらに妹。 つまり、簡単に言うと孫権の実妹である。 孫権「侍女達に武装させたり、そんな武士みたいな名前を名乗ったり、まさか戦場に出るなんて言わんだろうな。」 孫仁「兄上。劉備を倒すのに…、兵はいりませんわ。」
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