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「昨日はミゾに負け越したからな…あのコンボを攻略すれば…」
大山は階段を降りながら、地下にある部室を目指した
階段近くの部屋から色々な声や音が聞こえてくる
「ふむ…これは落研で…こっちは弁論部と。おいおい、秘密諜報部の声が漏れてどうするんだよ」
神之矢学園に存在する部活動や同好会を全て把握している人間は数えるほどしかいないだろう
やりたい事があるなら一人でもやれ
大山が唯一、入学式の学園長の話で覚えているセリフだった
この学園に入って悔やむがあるとするならば、身体が一つしかないことだろう
いくら掛け持ちしても全ての欲望を実現出来るわけではない
取捨選択に悩む人間は多いだろう
「まぁオレはここ一つで精一杯だけどっ」
大山は部室のドアを開けた
既に他のメンバーは集まっていた
いつもなら上田辺りがゲームの誘いをしてくる所だが、今日は違った
「部長喜べ。ラブレターが届いてるぞ」
一番に素子が近づいて来て、大山に紙の束を押しつけた
どこかで見たことのある用紙だった
「これ…入部希望書じゃん」
「そうだ。ざっと二十人分はあるだろうな」
「え?これ全部?」
大山は束を横から見る
本かと思うような厚さだった
「何で今さら入部希望者なんかがいるのさ?」
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