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「お前ほど注目を浴びてる人間もいねぇだろうよ」
上田が背中を向けたまま答える
「オレ、何かしたっけ?」
「大山部長を筆頭に風紀委員様に卑怯な勝利を収め…」
「文化祭でも部長の一人舞台だったな」
「公表されてないけど嘘つき小僧との戦いに勝ったって噂もあるしね~」
「俺とミゾだって勉学部相手に圧勝しただろうよ!」
部員達の口からは次々と武勇伝が語られる
大山はため息をつきながら椅子に座り、渡された紙の束の一枚一枚に目を通した
確かに全てが入部希望書だった
「んで…君達はどうなの?」
「反対」
「反対」
「反対」
ゲームをしている三人は前もって打ち合わせをしていたかのように、見事に声を揃えて言った
「だよなぁ。大体募集してないって話だよ」
「でも現にこうして入部希望があるわけだ。大した理由も無しに門前払いも出来ないだろう?」
素子が後ろから覗き込むようにして希望書を見る
「副部長の私の意見を言うと、ゆっくり本を読める場所が無くなるのは悲しいな」
「うわぁ、すっごい私的な意見」
「文句あるのか?」
素子は小悪魔のように笑う
「ハイハイ。優し~い部長様が部員達の願いを叶えてあげますよ」
大山は立ち上がると希望書の束をゴミ箱に放り込み、ゲームのコントローラを握った
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