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「う……」
やっと今までの事を思い出した僕は、とりあえず身体を起こそうと試みていた。
身体に力が入らなくて、きつく巻かれた鎖を鳴らすだけに留まる。
改めて自分の姿を見下ろすと、普段着のジーンズとTシャツから、襟首が大きく、肩が出るくらいの薄手の長袖のシャツに、ベルトやボタンのないシンプルなズボンに着替えさせられていた。
肉奴隷でも、って、お義父さんは言ってた。
肉奴隷っていうのは、肉体労働って意味だろうから、多分僕はこれから寝るまもなく働くことになるんだろう。
…でも、こんな恰好では動きにくいだろうな…これなら元々来ていた服の方がまだ動ける。
とすると…
お義父さんが言っていた、もう一つの使い道。
―――臓器?
…って、臓器を売るってことだよね…?
僕、殺されるのかな…
恐ろしい考えに、身体が震える。
今にも泣きそうになって、僕は強く目を瞑った。
カツン、カツン―――…
ゆっくりと、乾いた足音が近づいてくる。
僕は身を固くして、息を殺した。
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