終わりと始まりの目覚め

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戦火により荒れ果てた大地。 怒号飛び交い、悪雲が蔓延る空。 多くの命が散る中で、また小さな命が消え入ろうとしていた。 少年は、ただ病気の妹のために町にクスリを買いに来ただけだった。 少年が生まれた村は、山間部の他に比べると土地は痩せて作物が育ちにくい場所にあった。 父は農業の傍らに傭兵も行いなんとか家計を守っていたが、少年が10歳のとき戦場で戦死した。 少年は母とともに農業をしたり藁を編んで生計を立てた。 毎日、毎日、藁を編んだ。 豊かにならなくても、せめて家族と優しく生きていければそれで良かった。 そのときの少年はそう思っていた。
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