プロローグ

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あの場所へ戻ろう 約束していないけど この声が聞こえるなら あの場所へ 僕らを待っているのは青い空 ──中学生のときに路上で聞いた歌の一部だ。 恐らく高校生ぐらいだろうか。 一人でフォークギターを抱えて、道端で弾き語りをしている男がいた。 人々が忙しく往来する喧噪の中、わざわざ足を止めて彼の歌に聞き入る人もいない。 しかし自分はその歌を良いと思った。彼の歌に取り分けて魅惑的な何かがあった訳ではない。だが魅了されたのだ。 そうしてその日から、彼の歌を聞くために毎日その場所へ通うようになった。 だがやがて高校受験に追われるようになって、聞きに行くことも少なくなった。そしてそれ以来だ。 あの人は今も何処かで歌を歌っているのだろうか?
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