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ふと、足音が聞こえた
その音は、だんだん近づいてくる
男は電柱の陰に隠れ、息を潜めた
陰からちらりと見ると、二人のカップルが仲良さそうに腕を組み楽しそうに話している声が聞こえる
女性の方は、何か指輪のようなものを大事そうに手に持ち、腕を解くと、左手の薬指にはめた
女性が男性の顔を見て笑った
男性も笑った
そのまま二人は男に気づかずに通り過ぎていった
男は電柱にもたれかかった
『あの二人も同じように、なにを、なぜ、を考えているのだろうか』
星空を見上げて思う
『いや、少なくともさっき、あの瞬間には考えていなかったはずだ』
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