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『何かに夢中になろう』 男は決めた 『趣味、恋愛、仕事なんでも良い 夢中になれば、こんなこと思わなくていい、心が痛まなくていい』 『これは、逃げではない。自分に立ち向かうことだ』 本当に自分が思うことを感じたいと思うのは当然のことだろう でも、それに疲れて、どうしようもなくなった時は何かに夢中になって忘れてしまってもいいのではないか 男は自分の家へと帰り始めた 何か夢中になるものを探していた 途中で犬のフンを踏んだことも、蚊が顔の血を吸って赤くなっているのにも気づかなかった それは、夢中になるものを考えるのに夢中になっていたからではないだろうか 男の顔は、公園にいた時に比べて とても輝いて見えた
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