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中国の唐代に伝わった景教は、ローマ・カトリックからネストゥリウスと呼ばれていたが、これはプロテスタント同様、異端的なものとされていた。とはいえ、同じキリスト教であって、仏教のような異教ではない。
だから、イエズス会は景教の伝わった中国にも踏み込みたいという希望があった。だが、明はそれを許さなかった。
日本は古くから中国の影響を多大に受けている。中国に景教が伝わっているなら、それが日本に伝わっている可能性は否定できない。
「ザビエル師父が抱いた日本の印象、その報告書はローマに届きましたが、枢機卿の中には密かにネストゥリウス(景教)に寛大な人もいましてね。イエズス会には秘密で、私に日本の調査をお命じになったのです」
明に立ち入れないなら、まずは日本からだというので、ロルテスが派遣された。
ロルテスが来日してみると、日本の仏教にはキリスト教に影響されているような雰囲気のものがある。そればかりか、神社までもが、キリスト教どころか旧約聖書のイスラエルの神殿──神が預言者モーセに命じて作らせた形状──のありように似ている。過越の祭を想起させるものもあるが、それらの社はだいたい渡来人の秦氏が建てたものだという。
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