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赤城は箱からタバコ1本をくわえ、ジッポーで火を着ける。
揺らめく紫煙を目を細めて眺めた。
もう"探偵会"を抜けて3ヶ月か……。
今 考えればかなり長い間探偵会に身を置いていたものだと思う。
そこで出会ったのは数々の事件と、仲間。
同じ組織に属しているとしても、それぞれに多少の考えの違いはあるかもしれない。
しかし、必ず探偵会の人間はひとつの目標を持って生きている。
"真実を見つけ出し、事件を解決させる"……。
赤城はそんな探偵会という場所が好きだった。
そこに向かえば、皆が「赤城さん」と慕ってくれる。
しかし、今。それはできない。
探偵会から身を引く決意をしたのは自分自身だ。
行く先も告げず、突然いなくなってしまったことは申し訳ないと思っているし、謝りたい。
だが。
だが、今それはできない。
すぐそばに"終わり"が近づいているからだ。
文字通り、"終わり"。
それがすぐそばにまで来ている。
それを何とかするまでは、探偵会に行くことはできない。
……まぁ「何とかする」と言っても今 赤城のしていることは私立探偵の事務所に居候し、ソファでタバコをくゆらせていることだけなのだが。
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