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ふとドンドンと事務所のドアが叩かれる。
赤城はちらりとそのほうを見やり、朝霧に声をかける。
「お客さんすか?」
朝霧はテレビから目を話さず、餅を口の中でもごもごさせながら言った。
「なるちゃんだよ」
「成美ならノックなんてしないでしょーよ」
「じゃあお客さんだ」
「年始の休みは……」
「無いよ♪」
それを聞いて赤城はがくっ と肩を落とし、頭を掻きつつドアに向かう。
ドアの曇りガラスごしに見える影は成人した大人としてはいささか小さい。
(子どもか……?)
そう思いつつ、赤城はドアノブに手を掛け、扉を引いた。
すると赤城の胸元あたりに懐かしい顔が見――。
「赤城さんっ!!」
「ぶふぁっ!!」
――見えたと思ったら突如、その顔が赤城に突っ込んできた。
赤城は勢いに負かされ、背中を床に叩きつけることになった。
「赤城さ~ん。やっと見つけましたよ!」
「ま……真山……」
真山が赤城を抱き締め……と、いうか首を絞めて喜びを表す。
「赤城さんっ! なんでいきなり消えちゃったんですかぁ!」
「ちょっと……待て」
「黙っていなくなっちゃうから、ずっと探してたんですよぉ!」
「ま……て……ぐ……ぐるじ……」
「3ヶ月ずっと探してたんですからね!」
「し…………死ぬ……」
だんだん意識が薄れてゆく。
やばい。本気で死ぬかも。
そんなとき、朝霧のきょとんとした顔が自分を覗きこんでいるのが見えた。
赤城はぷるぷると震える手を伸ばし、朝霧に助けを求める。
「あさ……ぎりさん……たすけ……」
「モテるねぇ、大ちゃん♪」
「ち……ちが……う」
赤城は、ちょっと意識が途切れた。
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