異変。

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会話をしていると、 いつもの分かれ道にさしかかる。 「じゃ、また明日な!」 「バイバーイ!!」 『じゃぁな。』 「また明日!」 挨拶を交わして、 空といつものように駅へと向う。 その間の笑顔は変わらない。 けれど、 『――空、お前、最近なんかあったのか?』 気にしないようにしたものの、 昼間の空の顔が脳裏に焼き付いて離れないのだ。 「えっ?...何もないよ??何で?」 言い返す空の表情が一瞬曇ったのを、僕は見逃さなかった。 『最近、何か上の空みたいな時が多いし、 たまに浮かない顔してるし...』 「そっ、そんなことないよ!」 『永遠と涼風は気付いてなかったみたいだから、アイツ等の前で言うのは避けたんだけど。』 「何にもないって、元気だよ!」 『けど...――』 「ぁ、あたしこっちだから、また明日ね!」 話の途中で駅に到着してしまい、 空はさっさと僕に別れを告げ、自分の帰りのホームへと行ってしまう。 『......』 逃げられた。 僕は溜め息をついて、 定期で改札を通り、 自分のホームへと向かった。
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