入学。

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4月、 ヒラリヒラリと舞う桜の下、 僕は 新しい学校に足を踏み入れた。 桜が至る所で咲き乱れている。 新学期が始まると同時に転校したので、 4つあるクラス分けの表を眺め、 自分の名前を探す。 『(ぁ、あった。)』 1―B組に名前が記されている。 ざわついている同学年の子達を避けながら、 僕は校庭に印された案内に沿って、教室と向かおうと―― ドンッ! 『....って』 昇降口に向かおうと足を踏み出した瞬間、 誰かが僕にぶつかった。 「...!!ごめんなさいっ!」 『...前見て気をつけて歩きなよ。』 怒る気にもなれなくて、謝ってきた女の子にそう言って出来る限り優しく微笑んだ。 逆光で女の子の顔は見えなかったが、僕は気にする事もなく昇降口に足を踏み入れた。 「.....カッコイイ」 取り残された女の子は、未だザワザワとざわつく校庭でポツリと呟いた―――
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