入学。

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教室に入って、 辺りを見回す。 新しいクラスでは、 もぅグループが出来ているのか、 幾つか、 丸い円が出来ていた。 『(こう来たか...)』 溜め息をついて、 人目につかなそうな、 窓際の一番後ろの席に座った。 転入早々、 孤独を感じた瞬間だった。 暇なので、 iPodを取り出し、イヤホンを装着する。 適当に曲を流して持ってきた本を開く。 ―――― 少し間があいて、 後ろから声がかかる。 「あのっ!」 『え?』 幸い、曲の音量は小さめだったので、 後ろから掛かった声が聞き取れた。 振り向くと、 茶色でロングストレートの髪に 珍しく紅み帯びた瞳の女の子が立っていた。 「隣、空いてる?」 『ん?ぁぁ、空いてるよ』 「お邪魔してもいい?」 『どうぞ?』 よくみると彼女は童顔気味なのか、 少し幼い。 僕の返答に、緊張がほぐれたのか 微笑んだ。 ほっぺにエクボが出来て可愛い。
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