二人の嘘

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「本気なん? 元嫁が住んでる近くやで?」  僕は、姉に言った。 「そうなん? 昔やってたテレビドラマに使われた旅館やから、一回行ってみたかってん」  僕が渋った顔をしていると、姉は続けて言った。 「部屋に露天風呂付いてるし、丁度この時、温泉街最大のお祭りやってるんやって」  僕は心のどこかで、息子に会えるかもしれない、と、淡い期待を抱きながら、姉の押しに負ける形となった。
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