クリスマス そして…

18/18
前へ
/469ページ
次へ
「その曲はね、お父さんと結婚する少し前に書いた曲なのよ。悲しい別れからも幸せになりましたっていうね。そういえば、ジャンには話したことがあったかしら」 「そうなんだ…」 「今でも忘れてないわよ?どこで何してるかなんてわからないけれど、元気でやってくれてたらいいわねぇ」 お母さんが遠い目をして話す。 「会いたいと思う?」 「そうね、会って謝りたいわ。私も彼を置いて行った方だから」 「お、お母さん……私は……」 そこまで出かかっている言葉がつまる。 今が話すチャンスなんだってわかってるのに。 「どんなに思い通じ合っていたとしても、理想と現実は違うものよ」 「あっ………」 私が何を言おうとしていたかわかっているかのような言葉だった。 「それでも人は、理想を追いかけるのよね…」 「えっ?」 「昔話はこれでおしまい。めぐちゃん、お父さんが許してくれるかどうかね」 「お母…さん?」 「めぐちゃんが自分で決めてちゃんと頑張れるのなら、お母さんは応援しようと思うわ」 「………ありがとう」 そしてその翌日。 私はお父さんに思いを伝えた。
/469ページ

最初のコメントを投稿しよう!

252人が本棚に入れています
本棚に追加