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『……ちゃんと撮れてるかな?』
画面に誠二くんが写った。
「この人が誠二くん。私の大好きな人」
「うん、なかなか男前じゃないか」
「でしょ?実際はもっとかっこいいんだよ」
「ほう…」
それからまたしばらく眺める。
『そうそう、体育祭ひどかったんだよ。紗耶香のやつがさ』
「紗耶香ちゃんっていうのは私の親友なの。誠二くんと同じで私を守ってくれたんだ」
「誠二くんと仲が悪いのかい?」
「え?ああ、違うよ。何ていうのかな、コミュニケーションの取り方が少し激しいだけだよ」
うん、少しだけだよね?
『――――梓ちゃんと舞ちゃんも成長したぞ』
「私の後輩の子達。二人とも全くの最初から私が教えててね、フルートの上級生が私しかいなかったから少し心配だったんだ」
「恵が教えてたのなら大丈夫だろう」
「…だといいけどね」
ジャンに話しながらも私はずっと画面だけを見ていた。
『なんだかんだで今年も楽しかったんだ。…………だけどさ…』
「…………」
『やっぱりめぐがいないと心の底から楽しめないんだ。いつも、ここにめぐがいたらな……何て思うよ』
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