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私に出来ること………か。
待つことだけだった。今までは。
そうじゃない、これからはそうじゃないんだよね。
でも、ただ日本に帰りたいって言ったところですんなり受け入れてもらえるはずがない。それもまた事実なんだ。
一体どうすれば……。
しばらく考えてみたけれど何も思いつかないまま、私はまたビデオを再生していた。
ただ画面の中の誠二くんを眺めて時間は過ぎていった。
翌日からもジャンは今までと変わらずにレッスンを続けてくれた。
クリスマスの事には触れずいつも通りに。
それがよかったのかはわからないけれど、私も変わらずに過ごせていた。
変わったのは年が明けてから数日経った時。
いまだお父さんとお母さんに自分の気持ちを話せないでいた私は、フルートの練習をしていたんだ。
ある日の午後だった。
ジャンが来れないとのことだったので一人で練習をしていたんだ。
その時にふと、ジャンからもらった無題の曲の事を思い出した。
フルートだけで作られた曲。
なんとなくだけれど、その日はその曲をやりたくなった。
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