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「でも、やっぱり寂しいよ」
「めぐちゃん……」
「だってお互い愛し合ってたんでしょ?私はそんなの嫌だな。なんとなく私と誠二くんに似てるけど、私は気持ちが変わったりしないよ」
「そうよね……」
お母さんはまた寂しい顔をした。そしてまた口を開いた。
「でも、幸せになったのよ?」
「本当に?その人にとって気持ちの生まれ変わりが幸せだったの?」
私は納得出来なかった。つい、自分の立場に置き換えてしまっていたから。
「そうとは言ってないわ。ただ、少なくとも今は幸せよ。だって、そのおかげでめぐちゃんっていう子を授かったんだもの」
「………え?今、なんて?」
お母さんはそれに微笑みで答えた。
私は頭の中を整理した。今の言葉の意味を。
「じゃあ……今の話しって……」
「冷たい女だって思うかしら?」
「えっ………あぅ……」
「クスクス……少し意地悪だったかしら。そう、その曲を書いたのはお母さんよ。どうしてジャンがそれを持っていたのかはわからないけどね」
私は驚きを隠せなかった。
お母さんも私と同じ体験をしていたんだ。
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