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「考えが甘い!」と何度も言われ、「音楽を辞める事は許さない」とも言われた。
私も抵抗していた。「やってみなくちゃわからない!」それしか言えなかったけど。
そんな言い争いをしていた時、ジャンが現れた。
そして、一枚の封筒を渡されたんだ。
一年契約でレッスンを打ち切ると言われて、私は愛想をつかされたとばかり思っていた。
でもそれは、大きな間違いだった。
ジャンがくれた封筒の中身は紹介状だった。日本のある交響楽団の理事へ宛てていた。
ジャンは「昔、個人的に貸しがあってね」と、意地悪そうに笑いながら話した。
その楽団に入れるように手筈を整えているということだった。
「恵は立派に成長したよ。きっとそこでもやっていけるだろう。遅くなったが僕からのクリスマスプレゼントだ」
ジャンからの最高のプレゼントだったんだ。
結局、これが引き金になって3対1でお父さんが渋々折れた。
「やはりこうなったか…」と、お父さんがため息を吐きながら呟いた。
そして渡されたものが一つ。
見覚えがある鍵。日本で住んでいた家の鍵だ。
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