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フランスに名残惜しさを感じて空港に立つ。
出発前に誠二くんに渡せとお父さんから手紙を渡された。
必ず渡せと念を押された。少しだけ内容が気になって怖かったな。
「お父さん、お母さん。恵はきっと立派な大人になってみせます。娘の最大のわがままを許してくれて、ありがとう」
二人とも優しい笑顔で返してくれた。
「ジャンには感謝してもし尽くせません。本当にお世話になりました。ジャンから教わった事は全て私の糧となりました。また、会いに来ます」
ジャンは意外と涙脆かった。泣きながら「恵~、恵~」と抱き締めてきたんだ。
私も感極まって涙が溢れた。
出発の時間までフランスでの思い出の事を四人で話していた。
次から次に話しが出て来て話題は尽きることがなかった。
あっという間に出発の時間が来て搭乗口に向かう。
「辛くなったらいつでも帰ってらっしゃい」
その言葉がとても心強く感じた。私には二つの故郷が出来たんだ。
今、私は一つの愛する人がいる故郷へ向かおうとしている。
自分で幸せを掴み取るんだ。
そう心に強く思い、私はフランスを発った。
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