あなたのそばでずっと

7/14
前へ
/469ページ
次へ
私はついにたどり着いた。 愛する人の元に。 時間を考えれば唯一の寄り道だったんだろう。 卒業証書が入った筒を傍らに抱え、公園で青く澄んだ空を見上げる誠二くんがいた。 一瞬、頭の中が真っ白になってその場にぼーっと立ち尽くしていたんだ。 ずっと会いたかった。 そう思ったことはもう数えきれない程。 私は笑っていた。 多分、笑っていたんだ。 「んーーーーーーっ!!やるぞーーーーっ!!」 両手を大きく広げ、大空に向かって誠二くんが叫んだ。 それをどんな意味でやったのかは考えなくてもわかったんだ。 あのビデオレターを見れば、誠二くんの気持ちはわかるから。 「ふふふ……人が見てたらどうするの?」 自然に話すように言葉が出ていた。昔に戻ったように、自然に話していた。 誠二くんは不意にかかった声に驚いてこちらを見た。 そして、一年ぶりに二人の目が合ったんだ。 「あっ………」 「卒業、おめでとう。誠二くん」 …長かった。 「少し、痩せたんじゃない?」 やっと話せた。 「……会いたかったよ」
/469ページ

最初のコメントを投稿しよう!

252人が本棚に入れています
本棚に追加