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「私には誠二くんがいないとダメだったの。だから、お父さんとお母さんに話して帰って来たんだ。
だけどね、何となくこうなることがわかってたみたいなんだ。
日本を離れる時、何も残してないように聞いてたんだけど、家は残してあったんだ。
もし、私が帰って来た時のために」
「でも……めぐの将来が……」
「私はお父さんやお母さんのように有名になることは望んでないよ。
それよりも誠二くんのそばにいたいんだ。
ただ、楽団には所属するんだけどね。活動は国内だけらしいから長く家を空けることはないよ」
「じゃあ、音楽は…」
「続けていくよ!日本で」
「よかったぁ。めぐから音楽取ったら天然しか残らないからな」
「ひどぉい!そんなことないもん!」
「ははっ、冗談だよ」
「もうっ、……ふふふっ、あはははっ!」
また笑い合えた。戻って来たんだ。
誠二くんのところに。
「でもさ、よく許してくれたなぁ」
「実はね、お母さんが味方になってくれたんだ。
昔、私たちと同じ経験をしていたみたいでね。
私と誠二くんみたいな境遇で離れ離れになって、そのうちに連絡取れなくなって……」
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