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でも、それから春日さんは事あるごとに助けてくれた。
構わないでって言ったのに。
でも、春日さんなら、心許せたんだ。
だんだんいろいろ話すようになって、気付けばいつでも一緒だったな。
お互い名前で呼ぶようにもなった。
「ねぇめぐ、みんなこっちの高校行くみたいだけどさ、私たち隣の柳ヶ浦高校に行かない?吹奏楽部もあるみたいだし」
「私は、誰もいないところがいいからそうしたいな」
紗耶香ちゃんが一緒に柳ヶ浦高校に行こうって言ってくれた。
紗耶香ちゃんがいつでも助けてくれたんだ。
紗耶香ちゃんだけが友達だよ。
―――
そして春。
私たちの学校からは二人だけ、柳ヶ浦高校に入学した。
紗耶香ちゃんのおかげ。
でも、あんまり人とは関わりたくないな。
クラスも紗耶香ちゃんと離れちゃった。
不安だな。
またいじめられないかな。
誰とも仲良くならなければいい。
紗耶香ちゃんに迷惑はかけたくないし。
「めぐー!吹奏楽部見学しに行こうー!」
「紗耶香ちゃん…。うん!」
フルートも、普通に。淡々と。
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