柳ヶ浦高校へ

6/8
前へ
/469ページ
次へ
でも、それから春日さんは事あるごとに助けてくれた。 構わないでって言ったのに。 でも、春日さんなら、心許せたんだ。 だんだんいろいろ話すようになって、気付けばいつでも一緒だったな。 お互い名前で呼ぶようにもなった。 「ねぇめぐ、みんなこっちの高校行くみたいだけどさ、私たち隣の柳ヶ浦高校に行かない?吹奏楽部もあるみたいだし」 「私は、誰もいないところがいいからそうしたいな」 紗耶香ちゃんが一緒に柳ヶ浦高校に行こうって言ってくれた。 紗耶香ちゃんがいつでも助けてくれたんだ。 紗耶香ちゃんだけが友達だよ。 ――― そして春。 私たちの学校からは二人だけ、柳ヶ浦高校に入学した。 紗耶香ちゃんのおかげ。 でも、あんまり人とは関わりたくないな。 クラスも紗耶香ちゃんと離れちゃった。 不安だな。 またいじめられないかな。 誰とも仲良くならなければいい。 紗耶香ちゃんに迷惑はかけたくないし。 「めぐー!吹奏楽部見学しに行こうー!」 「紗耶香ちゃん…。うん!」 フルートも、普通に。淡々と。
/469ページ

最初のコメントを投稿しよう!

252人が本棚に入れています
本棚に追加