プロローグ

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
1811年10月、 フランス人女性としては 少し小柄な女性が ネマン川のほとりで 長い髪を 秋風になびかせながら 歌を歌っていた。 『ドミニク!』 彼女の名を呼ぶ声に ドミニクは振り返った。 そこには、軍服を着た男性が 立っていた。 『フェリペ!今日の訓練は もう終わったの?』 『あぁ、今日は アンリが担当を 変わってくれたからな♪ せっかくだから、 昼は外で食べよう。 オススメの店があるんだ。』 フェリペはそう言うと、 半ば強引に ドミニクの手を引き、 彼のオススメの店へと 歩き出した。 『こうやって、 手を繋いで歩くのって、 久しぶりね♪』 『最近は 忙しかったからな。 でも、上官はもうすぐ 終わるって言ってた。』 『ホントに?』 『あぁ、 イギリスが落ちるのは 時間の問題だって。』 『そう。 もうすぐ終わるのね♪』 『あっ、ほらこの店だよ。』 しかし、戦争が 終わることが無いのは、 二人とも理解していた。 何故なら、 ロシア侵攻の準備は着々と 進められているからだ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!