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1811年10月、
フランス人女性としては
少し小柄な女性が
ネマン川のほとりで
長い髪を
秋風になびかせながら
歌を歌っていた。
『ドミニク!』
彼女の名を呼ぶ声に
ドミニクは振り返った。
そこには、軍服を着た男性が
立っていた。
『フェリペ!今日の訓練は
もう終わったの?』
『あぁ、今日は
アンリが担当を
変わってくれたからな♪
せっかくだから、
昼は外で食べよう。
オススメの店があるんだ。』
フェリペはそう言うと、
半ば強引に
ドミニクの手を引き、
彼のオススメの店へと
歩き出した。
『こうやって、
手を繋いで歩くのって、
久しぶりね♪』
『最近は
忙しかったからな。
でも、上官はもうすぐ
終わるって言ってた。』
『ホントに?』
『あぁ、
イギリスが落ちるのは
時間の問題だって。』
『そう。
もうすぐ終わるのね♪』
『あっ、ほらこの店だよ。』
しかし、戦争が
終わることが無いのは、
二人とも理解していた。
何故なら、
ロシア侵攻の準備は着々と
進められているからだ。
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