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「わかりました……。その方はいつこちらに来られるのですか?それともこちらから出向くのですか?」
「向こうが迎えに来るそうだ。期日は………一週間後。ここに数日滞在した後に婚姻の儀式を行い、そなたをシェンバロ王国へ連れて行くと連絡が来た。―――すまないラティア。父の力がないばかりに……」
「いいえ、お父様。仕方のないことですわ。幼い頃から王女の役目は、国を繁栄させることのできる良い国の王子と結婚することだと言われておりましたし。やっと役目を果たす日が来たということです」
父を不安にさせないよう、精一杯の笑顔を向ける。
それで父は少し安心したようだ。
「頼もしいな」と言って、力無くではあるが笑みを返してくれた。
「ああ………お父様、出来ればこのことは内密に進めていただけませんか?」
ラティアはひとつ思い出して、父に頼む。
「?別に構わないが……。何故だ?」
「いえ、知られたくない人がいるのです……」
それで父は何か察したらしい。
「わかった。準備は要人のみで行おう」
そして父は、もう一度「すまない」とつぶやいてラティアの部屋を出て行った。
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