虐待の果て~涙~

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幼稚園の夏休みのある日。武弥が着替えをしている隣で玲花が服のシワをとる為のアイロンで遊んでいた。 武弥がおもむろに服を脱ぎ着替えようとすると、左腕を痛さにも似た熱さが襲った。 武弥は突然の事で泣き叫ぶ事しか出来なかった。左腕にはアイロンが当てられていたのだ。当てられていた時間10秒。聞けば短く聞こえるが、体感した時は長く感じるものだ。 武弥の泣き声を聞いても由紀子は武弥の元へ駆け付けようとしない。 武弥の泣き声に苛立ち由紀子は武弥を怒りに来た。武弥の左腕を見た由紀子は武弥を叱ったのだった。 そこまで嫌いなの? 武弥は思った。冷やして病院へ行くと医師の診断を聞いた。 ※第三度の火傷※ つまり火傷の中で最も酷いものだ。火傷の跡は一生消える事は無いのだ。 家へ帰ると玲花は泣いていた。まだ言葉もろくに話せない歳だ。多分、武弥が泣いた事に驚き泣いていたのだろう。 武弥はそんな玲花を見て、   兄ちゃんは大丈夫よ。玲花ちゃんは大丈夫?   そんな言葉をかけていた。 玲花は理解出来てなかっただろう…… ただ、武弥は玲花を恨む事は無かった。
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