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刹那、一陣の風が二人を包む。
桜の花びらが、月光を浴びながらハラハラ舞い散る。
月姫は妖艶に微笑むと、土方に背を向けた。
歩を進める月姫、その背を見送る土方。
二人の間に、静かに桜の花びらが舞う。
桜の花びらの向こうに見える月姫の背を、土方は静かに見送った。
行かせたくねぇ―…
もう一度、この腕に抱きとめたい―…
溢れる想いをグッと堪え見送った。
互いに本音を心の奥底に沈めるべく、己自身に意地を張った。
本当は傍に居たいと願っているが、互いにそれを口にしなかったのは、意地よりも互いの道を邪魔しない為。
もっと大切にしたかった―…
互いが強くそう想いながらも、その道の為に、成すべき事の為に、別れを選んだ二人。
いつかまた、出逢えると信じて―――
月姫は後ろ髪引かれる想いを胸に抱えながら、前だけを向いて歩を進めた。
その足で寺田屋に向かう為に。
坂本にはどうしても会っておきたかった。
会って話をせねば、月姫は己の進む道を定められないと判断していたからだ。
一歩、歩を進める度に、土方への想いを胸の奥底へと沈めていく。
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