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「お前は俺の奴隷じゃない。対等な者として答えろ。俺は、人間である俺は嫌いか?」
その言葉にミリはケルトを見つめる。少し困ったような表情を浮かべた後、言葉を考えきったのか、恐る恐るではあるが口を開く。
「ケ、ケルトは・・・いい人だと思う。人間は忌むべき存在だと言われてきたけど、ケルトは違うと思った」
そんな言葉にケルトは多少の安堵を見せる。
「そうか・・・。それは良かった」
思わず、またもや涙が溢れてくる。そして、優しく声を掛ける。
「俺もお前が好きだ。俺はな、悪魔が嫌いだったんだよ。俺も昔、悪魔に襲われたんだ。だが、その後、俺を救ってくれたのは年老いた悪魔だったんだ。それでも、悪魔に対する嫌悪感は払拭されなかったんだ。それから、そのまま時は過ぎた。そして今、俺はお前と出会った。最初はこんな感情はなかったよ。悪魔だから・・・、そうとしか思わずできれば関わりなく過ごそうと。でも、爺さんに怒られたんだよ。悪魔の全てが悪いのかって。実際にお前と共に行動して分かったんだよ。悪魔も人間も根底は一緒だって。人間の中にだって悪い奴はいるんだ。それと一緒。だから、俺は人間でお前は悪魔だからとか、そんなことは関係ないんだよ。同じ生きるものとして、それだけでいいんだよ。俺もまたお前に救われたんだよ、ミリ。だからな、今度は俺の番だ。俺がお前の願いを叶えてやる。お前の母ちゃんは俺が生き返らせてやる。だから、もうそんなこと言うな。私は奴隷なんて・・・。未来を捨てるな。もっと我儘に生きていいんだ。笑いたいときは笑って、泣きたいときは、気の済むまで泣いたらいいんだよ」
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