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この街は常に灰色の雲に覆われている。
工場から絶えず排出される黒い煙は空と繋がり、灰色い空を作り上げるのだ。
俺も、近所の年寄りも、偉そうな教師も、残飯を漁るカラスも、寝床を求めてさ迷う野良犬も、みんなみんな汚れた空気を吸って生きていた。
ここは汚れきったつまんねぇ街だ。
こんなつまんねぇ街での娯楽なんかは限られていて、
シワだらけのババァが経営してる安い酒しかないスナックか、大して玉も出さねぇパチンコ屋くらいだ。
俺の親父やお袋も例外じゃなく、仕事が休みの日は親父は必ずスナックで酒を煽り、家に帰ると酔って暴れた。
お袋は、そんな親父から逃げるように雀の涙ほどのヘソクリでパチンコ屋に通っていた。
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